ゴミ袋が生き物に見える癖がある。あらゆるものに自己投影してしまう。【「ホースの中島由佳新作発表会」レポ後編】



 

【イベント概要】

2016年6月26日、別視点ツアーのサロンにて「ホースの写真家・中島由佳の新作発表会2016」を開催した。

ホース撮影歴6年。いままでに撮影したホースの数、約1300本。

独自目線で写真を撮りつづける中島さんの、路上スナップ写真の新作を発表するイベントである。

前編・後編にわけてイベントレポをアップする。

 

 

【ガイド】

●ガイド:中島由佳(写真家/twitterinstagram公式サイト

●お相手:松澤茂信(別視点ツアー代表)

 

 

na

 

中島:「スナップ写真」は、スタジオとかでモデルさんを撮るのとは違って、日常のなかで特に計画も練らず、たまたま出会った偶然の出来事を撮ることを言うんですね。

筋トレみたいな感じでスナップ写真を撮ってますね。

 

-あぁ、筋トレ感覚なんですね

 

中島:盆栽おじさん(レポ前編参照)の写真とかは試合なんですよ。日常のなかで感覚が鈍らないように、筋トレとして撮ってるんです。

 

 

1

中島:これは、構造が複雑で形として面白いなと。迷路のように、ここはつながってる、ここは行き止まり。写真におさめると目で追ってしまうなと。

 

 

k-01

 

中島:うちわをキレイにそいだやつを花壇に刺して、何かをしたかったのかな。

 

-柵の役目ですかね

 

中島:柵ですかねえ。猫よこかもしれないですけど。

 

 

k-02

 

中島:ミラーボールが2つ捨てられていた。

 

-これはストーリーがあるなあ。

 

中島:なんかお店が潰れたんでしょうね。悲しい出来事が起こった。

 

-ミラーボールがある店は陽気でしょうからねえ。潰れるってのはやっぱり悲しいですよね。

 

中島:落ちてるからにはなにか過程があったので、それを想像するのは楽しいなって。

 

 

k-03

 

中島:柑橘系のすごく大きな木なのに、2つしか実がなくてキュッとなってるのがかわいい。仲がいいんだろうなって。

 

-そんなふうに擬人化してるんですね

 

中島:被写体に自分の気持ちをのせたり、「こいつらどういう気持ちなんだろうな」って考えたりするのが面白いですね。

 

 

k-04

 

中島:看板がずり落ちてる。地元で写真を撮ってるんですけど、なんとなく、こう、爪が甘いというか。
どこか生活に余裕がないというか、完璧にしなくても生活がまわる田舎の洗練されてなさが好きなんですよね。

 

-よく気づきますね

 

中島:ね。工務店なのに任せて大丈夫なのかなあって。でも、そういうのを直そうとしない人間性が愛おしいなって思ってるんです。

 

 

k-05

 

中島:奇跡的に植木が落ちて倒れてた。

 

-横の壁に垂直だ

 

中島:大震災のときにさいたまスーパーアリーナ―で1泊したんですけど、翌朝自宅に戻る道中で見つけました。地震の揺れでこのようになったのです。

 

 

k-06

 

中島:絶望してる子ども。どうしたんだろう、なんで泣いてるんだろうって想像するのが楽しいなって。

 

-絵文字のような絶望ですね。

 

 

 

●独自解釈を加えたスナップ写真

 

中島:こんな感じで、路上の光景をただ面白いと思って撮っていたんですけど、だんだんスナップショットも作品にしていけたらなと思いまして。
偶然出会えたから撮れたということだけでなく、そこに自分なりの解釈をつけることで、自分じゃないとできない作品ができるのではないかと思いまして、独自解釈を加えたスナップ写真に取り組んでます。

 

-それが僕が「理屈はなんか分かんないけど面白いな」っておもってた写真なわけですね

 

 

k-07

 

中島:これはガレージにゴミが捨ててあるんですけど、ガレージの建物が何かの顔に見える。
私、ゴミ袋が生き物に見えるっていう癖があるんです。1匹1匹が意思を持った小さい生き物で。
それが何か大きな力に対抗して、わーわー戦いを挑んでるイメージに見えるんですね。

 

-Twitterで投稿したときは「小さきものたちの反抗」ってコメントつけてましたもんね

 

中島:ダムの建設に反対する村人であるとか、そういう大きな権力に対して民が戦う姿に見えて、写真を撮りました。

 

-撮ってる時点で、そういう見立てはもう出来てるんですか?

 
中島:そうみえて撮ったものもあれば、あとで見るとそう見えるなって気づくこともあります。

 

 

k-08

 

中島:パソコンが捨ててあるんですけど、私はこれが意思をもってるように見えて。家出してきたのかなって。
飼い主に10年ぐらい毎日使ってもらってたけど、ある朝、新しいパソコンが家にきて自分の居場所がなくなって、ここに来た。そんなストーリーを描きました。

 

 

k-09

 

中島:あとは似たような物が2つあったら、それを比べるってことをやってて。「右と左の違い」っていうテーマで作品を作ろうとしてるんです。

これ、めちゃくちゃ違うじゃないですか。

 

-ゲームのレバーですよね。あきらかに右、燃えてますよね。

 

中島:こういったものに自己投影をしちゃうんですよ。

 

-ゲームのレバーに自己投影してるんですか

 

中島:こいつら元々区別がつかないくらい同じようなものだったのに、それぞれに違う人生があって、こういった違いが生まれたんだろうなと。
人間と同じように、似たような姿と容姿を持って生まれても、時がたつとぜんぜん違うものになってましたって。

 

 

k-10

 

中島:片方はかわいい形のコンクリなのに、片方はなぜか割られちゃって。なにがあったんだろう。自分の身にもこんなことってあるよなって。

 

 

12

 

中島:こんなに近くにあるのに、片方は草が生えてモテモテなんですよ。

 

-モテモテって状態なの、これ!?

 

中島:モテモテでしょ、これは!わーわー囲まれててスゴく楽しそうで、片方は同じマンホールなのに寂しそう。これは私にも起こりうることだなって。

 

-すごい自己投影力ですね

 

中島:すごいんですよ。なんにでも命を吹き込んでしまうし、だからアニメーションをやってみたくなってたんですけど。
わたしはこういう風に見てるけど、写真を見てくださった人はまた違う解釈をしてくれてもいいなって思ってます。

 

 

繧ケ繧ッ繝ェ繝シ繝ウ繧キ繝ァ繝・ヨ 2016-07-24 23.18.05

 

中島:家族に見えますね、お父さん、お母さん、子ども。「兄弟はすごい優秀だけど、僕はあんまり優秀じゃなくて」って話しをたまに聞くじゃないですか。

これ、引きで撮るとですね……。

 

 

繧ケ繧ッ繝ェ繝シ繝ウ繧キ繝ァ繝・ヨ 2016-07-24 23.17.59

 

-うわ、これは悲しい

 

中島:悲しいんですよ!そういう話しを聞くたびにこれを思い出してしまう…。

家族って一見幸せに見えるけど、こういうことって起こりがちだよねって。

 

-これ見てそんなこと思うの?!すっげえな

 

 

k-11

 

中島:これなんて女子高生に見える。「写真撮るよー、イエ―イ」みたいな。真ん中の子が一番かわいい。端の子はジャージ着てる。

 

-小豆色のジャージね

 
中島:そうやって妄想が止まらないんですよね。

 

 

k-12

 

中島:公園の落ち葉を集めて、回収する前なんでしょうね。なにかを計画してるとこに見える。

 

-1人、見張りしてますね

 

中島:そうそう、ほんとそうなんです!「この街をどうにかしてやる」とか計画してるかたわらで……

 

 

k-13

 

中島:こっちの2人はイチャイチャしてる。

 

-ほんとだ

 

 

k-14

 

中島:ここのネギだけ、はぐれちゃってる。「1列になんて並んでらんねえよ」って、一株だけ「俺はもうこんな世界はイヤだ」って自分の意志で出てきた。

 

-仲間はずれではなく?

 
中島:そうそう、なぜかっていうと、ネギの向きです。向かってる方向が「あいつらに背をむけて、俺の意志で」って。

 

 

k-15

 

中島:薬屋さんが出ていって代わりに運送会社がテナントに入ったんですけど、悲惨ですね。こういうのみると資本主義を感じる。

 

-資本主義を?

 

 

中島:あまりにも運送会社の印字がくっきりで、薬屋さんの印字がかすれてるので。実際は違うと思うんですけど、薬屋を出ていかせて「俺がここを陣取るぜ」というストーリーを描きました。

 

 

k-16

 

中島:窓ガラスをとめる金具がたまたまマックの広告とかぶって目にみえる。オニオンが歯に見える。

 

-競艇場とかにいるタイプのおじさんですね

 

 

 

●同じ感覚を持っている人

 

sabotenikka

 

中島:あと、インターネットをやってて素晴らしい人と出会いまして。
私、3月21日に向ヶ丘遊園駅の住宅街で、なんの変哲もない家のサボテンを撮ってアップしたら、「僕もそれ49週間前に撮ったよ」って人があらわれたんですよ。

 

 

saboetnikka2

 

中島:49週間前はここにいたんですよ。

 

-移動してる!

 

中島:赤いほうの大きい住居に「手狭になってきたから引っ越したいな」って家族が移動してると想像してたんですけど、49週間前ここにいたってことは遠のいてるんですよ。夢が遠のいてショック……。

 

-夜逃げですね、これじゃ

 

中島:あとは、なんの変哲もない家のサボテンなのに、同じものを撮ってた人がいたのがすごい偶然だなって思って。

 

-すごいことですよね、撮らないですよ、これ。

 

中島:私と同じ感覚を持ってる人がいるんだって感動したんですけど。

 

sabotenikka3

 

中島:さらに1週間後、いなくなっちゃって。

 

-キレイさっぱり

 

中島:この人は写真がほんとうまくて、いなくなっちゃったってことを表現するために、わざと引いて撮ってるんですよ。とてもリスペクトしています。

他にも似た様な物を撮ったりすることが重なってて、ホースの定点観測もしてくださってます。

 

-知り合いなんですか?

 

中島:いえいえ、インターネットがきっかけで知り合ったので。

 

-実際会ったことはないんですか?

 

中島:あります!

 

-気がすごい合う?

 

中島:すごく気が合うってわけではないですが、でも昔影響をうけたアーティストとか展示は、かなりかぶるものがありました。

 

-それこそさっきの右と左みたいに、形は同じだけど育ちで違うものになってるわけですね

 

 

※中島さんの新作はこちらのリンクからご覧いただけます!
https://vimeo.com/user36318254/videos

 

 

【レポ前編】「盆栽には人の想いが詰まってる。だから捨てられず、手入れのはいってない盆栽が増えるんです」

 


コメントをする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です